金管楽器演奏の科学

音の鳴らし方と演奏音域

トランペット・ホルン・トロンボーン・テューバなどの楽器は、リコーダーのように息を吹きかけるだけでは音は鳴りません。息を吹きかけると同時に唇を振動させることではじめて音が鳴ります。このように奏者自身の唇を振動させて音を鳴らす楽器を金管楽器と言います。

金管楽器演奏では「音の高さ」と「唇の振動数」がほぼ一致します。そのため、奏者は演奏する音の高さに応じて唇の振動数を変化させる必要があります。高い音では唇を速く、低い音では唇を遅く振動させます。各楽器で必要とされる演奏音域、すなわち唇の振動数の範囲は次のようになっています。(Hz:ヘルツ 1秒あたりの振動の回数)
・トランペット 164Hz~1174Hz
・ホルン 88Hz~698Hz
・トロンボーン 88Hz~622Hz
・テューバ 58Hz~349Hz
※奏者によって演奏可能な音域は異なります。

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どうすれば高い音は演奏できるか?

金管楽器を演奏していて「高い音は難しい」と感じたり、「楽譜に書いてある高い音がどうしても演奏できない」という体験をしたことのある人は少なくないと思います。どうすれば、高い音は演奏できるのでしょうか?

金管楽器演奏では「音の高さ」と「唇の振動数」がほぼ一致することから、高い音の演奏ではその音の高さと同じだけ唇を速く振動させれば良いことがわかります。

それでは速い唇の振動を産み出すために、奏者は何をすれば良いのでしょうか?ひとつのアプローチとして、唇の状態を変化させることが考えられます。唇の状態を変化させる要素には「表情筋の活動」「マウスピースを押し付ける力」「呼気圧」などがあります。講義ではこれらの研究成果についてみていきます。

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記事更新日 2018年9月24日