取り組み
科学的アプローチで演奏メカニズムの解明
皆さんは「プロ奏者はどうして上手に演奏できるのだろう?」と、疑問に感じたことはありませんか?同じ楽器を手にしても、プロ奏者が演奏する時と初心者が演奏する時では、音がまるで違います。
- ・上手な人はなにが違うのか?
- ・どのように練習すれば上手になれるのか?
これらの答えを出すため、私は奏者の体の使い方に着目して科学的アプローチで演奏メカニズムを解明する研究を行っています。
現在は主に金管楽器奏者を対象に研究を行っており、その成果は学会・講演・セミナーなどを通じて発信しています。
現在の研究
マウスピースを唇に押さえつける力の解明
金管楽器はマウスピースを唇に押さえつけて演奏しますが、この「マウスピースの押さえつけ方」は、どのようにすべきなのでしょうか?この押さえつけ方については、プロ奏者の間でも意見が分かれています。
- ① しっかりと押さえつける
- ② なるべく押さえつけない
- ③ まったく押さえつけない
実際に私は①②③全ての指導を受けたことがあり、大変困惑した経験があります。プロ奏者はどのくらいの力で、マウスピースを唇に押しつけているのでしょうか?
この疑問を解決するために、我々は計測装置を開発しました。
現在、トランペット・ホルン・チューバのプロ奏者を対象に、実験を行っています。
将来の展望
科学の力で音楽をより楽しむ!
スポーツの世界では、スポーツ科学の発展にともない「理にかなったトレーニング方法の提案」や「トレーニング器具の開発」などが行われてきました。その結果、競技成績の向上や運動環境の改善がみられ、スポーツ科学はアスリートやスポーツを行う人たちに大きな恩恵をもたらしています。
このスポーツ科学の方法論を音楽に取り入れることで、音楽を取り巻く環境をより良く発展させることができると考えられます。将来的には、スポーツと同様に音楽でも「理にかなった練習方法の提案」や「新たな楽器や練習器具の開発」などが期待できます。
音楽に科学的アプローチを取り入れた研究を行うことで、多くの人が音楽をより楽しむことのできる環境を作りたいと望んでいます。